IPod nano

iPod nanoの歴史

iPod nanoは、Appleがかつて開発・販売していたフラッシュメモリを内蔵したデジタルオーディオプレーヤーです。2005年に初代モデルが発売され、その後、第7世代まで様々なモデルがリリースされました。iPod nanoは、小型でスタイリッシュなデザインと、手軽に音楽を楽しめる操作性が特徴で、多くのユーザーに愛されました。

概要

iPod nanoは、iPodシリーズの小型デジタル音楽プレイヤー市場向けモデルとして登場しました。iPod shuffleとiPodの特徴を兼ね備えつつ、iPod miniよりも小型であることが特徴です。マイクロドライブを搭載したiPod miniの後継製品として位置づけられ、iPod nanoの登場に伴いiPod miniの生産は終了しました。

特に第6世代モデルは、正方形のマルチタッチディスプレイを搭載し、サードパーティ製のリストバンドと組み合わせることで、腕時計型端末としても利用できました。このコンセプトは、後に発売されるApple Watchに引き継がれることになります。

歴代モデル

第1世代

2005年 9月7日、AppleのCEOであったスティーブ・ジョブズ氏が、自身のジーンズのコインポケットから取り出して発表しました。この発表と同時に世界中で販売が開始されました。サイズは90mm（縦）×40mm（横）×6.9mm（厚）、重量は42g。2GB（21,800円/$199）と4GB（27,800円/$249）の2モデルがラインナップされ、カラーバリエーションはホワイトとブラックの2色でした。後に1GBモデル（17,800円/$149）も追加されました。バッテリー持続時間は音楽再生時で14時間。

1.5インチのカラー液晶ディスプレイを搭載しており、音楽CDのジャケット写真やフォト画像を表示できました。また、周辺機器を使用することでボイスレコーダーとしても利用できました。発売当初は、iPod miniやiPod shuffleと比較して比較的安定した供給体制でしたが、モデルによって売れ行きに差があり、例えば日本では4GBモデルが2GBモデルよりも人気が高く、入手が難しかった時期もありました。

当時のフラッシュメモリの価格から比較して安価だったこともあり、フラッシュメモリの価格下落に貢献しました。iPod miniの生産は終了し、iPod nano用の周辺機器が発売されました。

液晶ディスプレイへのクレームと対応

発売後、液晶画面に傷が付きやすいというクレームが相次ぎました。Appleは当初、第4世代iPod（カラー版）と同じ素材を使用していると反論しましたが、その後、出荷した商品の0.1%に液晶画面の不具合が発生する可能性があるとして、交換に応じることになりました。一部のユーザーは集団訴訟を起こし、Appleは保護ケースを標準で同梱するようになりました。

充電式電池が原因の本体発火

2008年、経済産業省はiPod nanoの発火事故について公表しました。Appleもバッテリーに問題があることを認め、無償交換を受け付けることを発表しました。2011年には再度、バッテリー問題について見解を発表し、無償交換プログラムを開始しました。

第2世代

2006年 9月12日、iPod miniと同様のアルミ合金製の筐体に変更し、5色のカラーバリエーションをラインナップした第2世代モデルが発表されました。サイズは90mm（縦）×40mm（横）×6.5mm（厚）、重量は40gと、第1世代より若干小型化されました。画面サイズと解像度は前世代と変わりません。2GB（17,800円/$149）・4GB（23,800円/$199）・8GB（29,800円/$249）の3モデルがラインナップされました。バッテリー持続時間は音楽再生時で24時間。アルファベットによる検索機能が追加されました。

第3世代

2007年 9月5日、iPod classic・iPod touchと同時に発表されました。サイズは69.8mm（縦）×52.3mm（横）×6.5mm（厚）、重量は49.2g。4GBモデル（17,800円/$149）と8GBモデル（23,800円/$199）の2モデルがラインナップされました。液晶画面が従来の1.5インチから2インチに大型化し、解像度が向上しました。iTunesのCover Flowインターフェースを備え、ビデオの視聴やゲームプレイが可能になりました。

第4世代

2008年 9月9日、iPod touch（第2世代）と同時に発表されました。デザインが変更され、スリムなデザインになりました。サイズは90.7mm（縦）×38.7mm（横）×6.2mm（厚）、重量は36.8g。8GBモデル（17,800円/$149）に加え、16GBモデル（23,800円/$199）が追加されました。加速度センサーが内蔵され、本体を傾けるとCover Flowが表示されるようになりました。また、本体を振るとシャッフルする機能も追加されました。

第5世代

2009年 9月9日、第4世代iPod shuffle・Late2009 iPod touch・iPod classicと同時に発表されました。デザインは第4世代を踏襲しつつ、ビデオカメラ、FMラジオチューナー、スピーカー、歩数計機能が新たに搭載されました。画面サイズが2.2インチに拡大されました。8GBモデル（14,800円/$149）と16GBモデル（17,800円/$179）の2モデルがラインナップされました。

第6世代

2010年 9月1日、第4世代iPod shuffle・第4世代iPod touchと同時に発表されました。クリックホイールが廃止され、マルチタッチディスプレイが搭載されました。本体が正方形に近くなり、コンパクト化されました。8GBモデルが13,800円（$149）、16GBモデルが16,800円（$179）で発売されました。ビデオ再生機能は廃止されましたが、アクセシビリティ機能が強化されました。腕時計のアクセサリーが多く発売され、Apple Watchの事実上の前身ともいえます。

第7世代

2012年 9月12日、iPhone 5・第5世代iPod touchと同時に発表されました。マルチタッチディスプレイを搭載し、ビデオ再生機能が復活しました。デザインは縦型に戻り、本体サイズは76.5mm（縦）×39.6mm（横）×5.78mm、重量は31g。16GBモデルのみがラインナップされました。Bluetooth 4.0を搭載し、コネクタがLightningに変更されました。2017年7月27日に販売を終了しました。

iPod nano (PRODUCT)RED Special Edition

Appleは、Product Redのパートナー企業として、iPod nanoの限定カラーモデルを販売しました。このモデルが1台売れるごとに、一部の金額が世界エイズ・結核・マラリア対策基金に寄付されました。

脚注

外部リンク

- Apple - iPod nano

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